地域を守るのは、やはり人と人のつながり

県立高校の再編計画が示されてから、間もなく一年になります。

賀茂地域では下田高校を中心に稲取・松崎をサテライト校とし、南伊豆分校は廃校へ。私立高校のない当地にあって、子どもたちの進路の選択肢が狭まることへの危機感から、この欄でも繰り返し思いをお伝えしてきました。しかし、学校の問題だけではありません。地域を支える人そのものが減っている現実を、最近、身をもって感じる出来事がありました。

私は月に一週間ほど沼津に戻り、二反五畝ほどの畑で「俄か農民」をしています。その隣の一反歩ほどの畑が、耕作者の高齢化と体調不良で、とうとう耕作放棄地になってしまいました。地主さんも高齢の一人暮らし。放っておくわけにもいかず、9月23日から時間を見つけて草木の伐採や根の処理、残された資材の片付けを始め、10月18日、実働約8日でようやく終えました。 背丈ほどの草を刈りながら、ふと思いました。「今は健康だからできた。でも、この先は誰がやるのだろう」と。

全国の農業人口は減り続け、高齢化も進んでいます。農業が儲からず、担い手も育たなければ、山も里も守れません。地域の産業を支える実業高校の役割も、こうした現実の中で考える必要があるのではないでしょうか。

そんな思いの一方で、嬉しい動きもあります。

今、南伊豆では早稲田大学の「田舎留学プロジェクト」の若者たちが、地元の皆さんと日本一遅い新そばの収穫に取り組んでいます。分校や地域の子どもたちとの交流も進み、都会育ちの若者が地方の暮らしに関心を持ち始めています。

温泉熱を利用した鬼手長エビ養殖に挑む加藤さんは、後継者に悩む温泉メロン栽培にも力を貸し始めました。下田では新村さんが、タンポポの花から根まで活用した商品づくりに挑み、耕作放棄地を減らそうと頑張っています。

大きな政策も大切です。しかし、地域を変えるのは、こうした一人ひとりの行動と、それを結ぶ人のつながりではないでしょうか。

難しい時代だからこそ、慌てず、煽らず、相手にもう一言声をかけ、もう一歩近づいてみる。そこから新しい力が生まれるような気がしています。

人と人が出会い、地域に小さな花を咲かせる。そんな希望を持って、11月を迎えたいと思います。

11月1日 渡辺良平