「ひと」がいなければ、田畑も技術も生きない

高市首相は「日本列島を、強く豊かに。」を掲げ、「危機管理投資」と「成長投資」によって強い経済をつくるとしています。その中でも食料安全保障を重要な柱として、「全ての農地をフル活用できる環境」を整え、先端技術も活用しながら農林水産業を成長させていく方向を示しています。大いに期待したい政策です。

しかし、伊豆の南に暮らしていると、少し違った景色も見えてきます。8月14日、盆の最中に下田へ戻る道すがら、年々広がっていく耕作放棄地を目にしました。使える田畑があっても、耕す人がいない。農業を続ける人が高齢になり、次の担い手が見つからない。国がどれだけ立派な政策を掲げても、それを地域で実行する人がいなければ前へ進みません。

事業には「ひと・もの・かね」が必要だと言われます。考えてみれば、今の私たちの地域には、その三つがどれも十分とは言えません。しかし、何もないわけでもありません。

新しく農業に取り組む人、地域に入ってきた企業、農地整備、レモンや長命草の栽培、温泉熱を利用した養殖、大人の農業講座や大学生の田舎留学プロジェクト。そして南伊豆分校では、生徒たちが地域の農業に触れ、学び、研究しています。一つ一つはまだ小さな芽です。しかし、 その芽を育てるのも、つなぐのも、結局は「ひと」です。
だから私は、南伊豆分校の問題も単に「生徒数が何人だから残す、何人だからなくす」という数字だけで考えてよいのだろうかと思います。もちろん学校を維持するには人数が必要です。だからこそ、地域が学校を必要とするなら、私たち自ずからが若い人をはじめとして社会人の中でも農業経験が無くとも、ここで学びたい、働きたいと思える 地域をつくる努力もしなければなりません。

小林テレビでは、そんな地域に芽吹き始めた動きを、一つずつ番組にしています。
地域放送だけで地域を変えることはできません。しかし、知らなかったことを知り、誰かの話を聞き、「自分たちの地域のこと」として考える人が増える。そこから何かが始まるとも思います。

国が掲げる「食料安全保障」を伊豆の南で本物にするためにも、農地だけでなく、そこで学び、考え、働く「ひと」を育てることも必要です。
県政、市政、町政、農業、学校、そして地域で動き始めた人たち。私たちはこれからも、その姿を一つずつ番組でお伝えしていきます。
ぜひ一度、地域番組をご覧ください。テレビでも、スマホでもご覧いただけます。
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9月1日 渡辺良平